
うちの息子は破壊的な多動児だった。
激しい多動の勢いは周囲を巻き込み大荒れの幼少期。
親としては、とにかく周囲への迷惑を最低限に抑える努力と、
本人がケガをしないように、命を落とさない様にと大忙し。
高いところから落ちるかもしれない程の好奇心、
車にひかれてしまうかもしれない獣のような行動力。
普通とは程遠い子育て期間を祈る様に乗り越えた。
だけど
そんな風に私が体を張った時期も、後から振り返るとほんの数年。
目に余るほどの多動は、彼の人生のほんの一部の期間で終えることになる。
ホッとしていたのも束の間。
大変なことは、まだまだ待ち受けていて…
一難去ってまた一難、とは良く言ったもの。
激しい動きが治まり、少しまともに人の話を聞けるレベルになったかな?くらいの成長を見せてくれた頃、
また新しい課題が顔を覗かせる。
状況の把握が苦手だということ。
具体的に丁寧に説明されてようやく状況を飲み込めるということ。
空気が読めないという言葉が世に浸透し始めた頃だったかもしれない。
まさに息子にぴったりな言葉だと思ったから。
コミュニケーションの壁が、彼にはとても高いのだということを知ったのだ。
幼いころはADHDと診断されていたけれど、
小学校3年生で初めて高機能自閉症という診断名が加わった。
低機能、中機能、高機能?
自閉症にも色んな種類のものがあると知って、
高機能の場合は知的障害がない自閉症?なんて教えて貰っても
頭の悪い私は難しく考えすぎてしまって…
最初は上手く浸透しなかった。
それを察した主治医がアドバイスをくれる。
『シンプルに、自閉症だと思って育てればわかりやすいですよ』
その言葉は上手く私に伝わった。
とにかく難しいことは考えずに、自閉症の知識を学びながら育ててみた。
すると色んな発見があって、高機能な自閉症という病名の意味がだんだんと解り始めていく。
まだまだ日本人には知識がなさすぎて、
うちの子は自閉症、というワードを口にすると
ウケ狙いの冗談だと思われて笑われることもあった。
それがずっと腑に落ちなかった。